死にたかった私を読書が救った話

死にたかった私を読書が救った話

先日、鉄道での自殺防止ポスターが「逆に辛い」とSNS上で議論されていました。
私も見てみましたが、確かに「死にたさが増すな」という印象を受けました。

自殺防止ポスター
(この画像はポスターの一部です。)

私は高校生の頃、学校でいじめを受けていました。詳細は書きたくないので省きますが、毎日何人ものクラスメイトから嫌悪の視線を向けられ続けると人間というもの自体が嫌いになります。今でも、根本的には人が嫌いです。
もし自分が高校生だった時にこのポスターを見ても、自殺を思い留まろうとは思わなかったでしょう。ホットラインのポスターだとも気づかなかったかもしれません。嫌悪感だけ催して素通りしたと思います。

「死にたい」気持ちを救うことは人には難しい

自分の経験ですが、自殺を考えている時に誰かに悩みを打ち明けるというのはかなりハードルが高いものです。「自分の悩みを否定されたらどうしよう」「こんなことで死にたいだなんて」と、自己否定からくる他人への恐怖があり、まず人と関わることすら難しい状態でした。
そもそも死にたい気持ちの原因が学校でのいじめと家庭環境の悪さだったので、誰かに話すことで解決するとも思えませんでした。

鬱を克服したきっかけ

私が抑鬱状態を抜け出せたきっかけは、読書でした。私は小学生の頃から本を読むのが好きで、児童書、ライトノベル、恋愛小説、推理小説、ミステリ小説、純文学、海外文学と徐々に幅を広げてたくさんの本を読むようになっていました。
本の中には自分の知らない世界があり、それはとても魅力的で、読書をしている間だけは辛い現実から逃げることができました。

サセックス大学の研究によると、6分の読書によってストレスを68%減少させることができるそうです。これは、音楽鑑賞、コーヒー、散歩、ゲームなどに比べてダントツで効果が高いものだったそうです。
参考:TELEGRAPH.CO.UK-「Reading ‘can help reduce stress’」

たくさん読んだ本の中でも、自分の考え方を変えるきっかけとなったのは京極堂シリーズでした。
京極堂シリーズは、煉瓦本と呼ばれるくらい分厚い本で、ジャンルはミステリ小説に区分けされます。
登場人物にうつ病の小説家とその友人の古本屋(兼神主、兼陰陽師)が出てくるのですが、ほぼ毎回うつ病の小説家を古本屋が叱咤しつつ遠回しに励ますような会話が出てきます。その様はカウンセリングのようで、いつの間にか自分もカウンセリングを受けているような気持ちになりました。
もう1人の登場人物、破天荒な探偵にも良い影響を受けました。その探偵は「僕は神だ」と言い、無茶苦茶なことも平気でやってしまいます。ああ、神だから許されるんだなと爽快な気持ちになりました。そして私自身も「自分の神は自分自身なのでは?」と、細かなことで悩むのが馬鹿らしく思うようになりました。

シリーズの最初の本は姑獲鳥の夏。幻想小説のようなミステリ。

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鉄鼠の檻は、禅の教科書のような内容でした。読むのに辞書が必要。読後、頭が良くなったような気がします。

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何故か家にあった「ブッタとシッタカブッタ」という漫画も、心というものを知る良い教材でした。わかりやすい四コマ漫画で、ブッダの教えがスッと心に入ってきます。読んだだけで小さな悟りを開けるような気がしました。もし子供が思春期に悩んでいたら、この漫画を読ませたいです。

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それまでの考え方を変えた

鬱状態の時に一番辛かったのが、「死にたくても死んではいけない」と考えることでした。もう人生が辛くて辛くてたまらないのに、逃げ出すことも許されないというのは、本当に辛かったです。本当に死んでしまおうか、と考えることもありましたが、それまで親から「人に迷惑をかけてはいけない」と言い聞かせられ育ったため、死ぬことができませんでした。誰にも迷惑をかけずに自殺することなどできませんから。

しかし、京極堂シリーズをはじめとした様々な本を読み漁り、ふと、こう考えました。

「死にたい」と考えてもどうせ生きなくてはならない、それなら楽しく生きた方が良いのではないか。
もしかして自分を不幸にしていたのは自分自身だったのではないか。
自分を不幸にするものに価値はないのではないか。

こう考え方を変えたことで、突然生きるのが楽になりました。
そしてちょうど、学年が変わっていじめ問題がなくなったということもありました。
家庭環境についてはどうすることも出来ないので、ただ諦めてあるがままを受け入れることにしました。

その後の人生では、どうしたら自分が一番幸福になれるかだけを考えて生きています。様々な選択肢がありましたが、全部「幸福のため」を考えて取捨選択をしていくと、不思議と後悔しない人生になっています。

最後に

鬱の克服の仕方については千者万別かと思います。たまたま私には読書が合っていました。
恋人や配偶者に支えてもらって克服する人もいるでしょうし、精神科のお薬で精神状態をコントロールしている方もいると思います。

読書の良い点は、お金がかからないことです。図書館を利用すれば無料。そして他人の助力が必要ない。
今思うと、あんなに考え方がくるっと変わる経験はあまりないので、貴重な体験でした。当時高校生だったのでまだ柔軟に変化出来たのかもですが。

もし私が自殺防止ポスターを作るなら、1人図書館で本を読む人の写真を起用したいです。キャッチコピーは「知識は強さになる」とか「本の世界は楽しい」とか。ホットラインのポスターとしては全然ダメですが。